体験の価値は、後からしか分からない|高かったことは覚えている。でも値段は覚えていない

豊かさの設計


私たちは何かを選ぶとき、つい値段を気にしてしまいます。

でも、その体験にどんな価値があったのかは、その瞬間には分かりません。

価値とは、時間をかけて少しずつ育っていくものなのかもしれません。

 

体験の価値は前もって測ることが出来ない

何か新しい体験をしようとするとき、最初に気になるもの。

それは、多くの場合「値段」ではないでしょうか。

少し高級なレストラン。

いつもより良いホテル。

憧れていたワイン。

 

興味はある。

経験してみたい。

でも、その前に数字が目に入る。

「本当にこの金額を払う価値があるのだろうか。」

そんなふうに考えてしまうことがあります。

 

もちろん、お金は大切です。

何でも経験すればいい、欲しいものは買えばいい、という話ではありません。

 

ただ最近、少し思うことがあります。

体験の価値は、体験する前には正確に測れない。


そんなことが、人生には意外と多いのではないでしょうか。

人生は後になって理解できる
20歳のウルル、21歳のサグラダ・ファミリア。若い頃には意味が分からなかった経験が、50代になった今、人生の価値観としてつながり始めています。人生は前向きに生きるしかない。でも理解できるのは後になってから。そんな気づきについて綴りました。

買う前に気になるのは、いつも値段

私たちは何かを選ぶとき、まず価格を見ます。

それは当然のことです。

購入する前に、唯一はっきり分かる数字だからです。

 

3,980円。

39,800円。

398,000円。

3,980,000円。

 

数字は分かりやすい。

高いか安いか。

買えるか買えないか。

判断する材料になります。

 

でも、その経験が自分の中に何を残すのか。

5年後、10年後の自分にどんな影響を与えるのか。

それは、その瞬間には誰にも分かりません。

  

時間が経って残るもの

不思議なもので、昔の出来事を思い返すと、

「あれは高かったな。」

という記憶は残っています。

 

でも、

「いくら払ったんだっけ?」

となることが少なくありません。

 

その代わりに残っているものがあります。

誰と一緒だったのか。

どんな景色だったのか。

どんな会話をしたのか。

何を感じたのか。

 

数字は少しずつ薄れていくのに、その時の感情や空気は、いつまでも心に残っています。

そんな経験はないでしょうか。

 

一本のワインが変えた価値観

私にとって、そのひとつがワインでした。

 

若い頃、初めて偉大なワインと向き合った日のことは、今でもよく覚えています。

 

決して安いワインではありませんでした。

当時の私にとっては、大きな買い物だったと思います。

 

でも、今思い出すのは値段ではありません。

 

グラスの中で少しずつ変化していく香り。

時間とともに表情を変えていく味わい。

 

「ワインとは、ただ飲むものではなく、時間を味わうものなんだ。」

 

そう感じた瞬間でした。

 

もしあの時、

「高いからやめておこう。」

そう判断していたら、今こうしてワインについて文章を書いている私はいなかったかもしれません。

 

払ったお金以上に、その体験は長い時間をかけて私の中で熟成し、価値をあげていたのだと思います。

人生のどこかで、必ず触れておくべきワイン|モンラッシェが変えた価値観
20代前半、初めて飲んだ「モンラッシェ」。白ワインの概念が壊れた瞬間と、高いものに触れる意味、お金をかけてでも体験する価値について綴ります。ワインを通して見えた、人生の豊かさと余白の話。


すべての高いものに価値があるわけではない

だからといって、

「高いものほど価値がある。」

という話ではありません。

 

高額なものでも、自分にとって必要ではないものがあります。

反対に、お金をほとんど使わなくても、一生忘れられない経験もあります。

 

以前、ある希少なワインを見つけ、一瞬「欲しい」と心が動いたことがありました。

 

でも同時に考えました。

自分は何に惹かれているのだろう。

 

そのワインの歴史なのか。

所有する喜びなのか。

それとも資産としての価値なのか。

 

結局、そのワインは私が決断する前に売り切れていました。

 

不思議なことに、その時に感じたのは残念さだけではありませんでした。

少し安心した自分もいたんですね。

 

そして、もう一つ気づいたことがあります。

買えなかったことも、一つの体験だった。

 

もし売り切れていなかったら、買っていただろうか。

自分はあのワインに何を求めていたのだろう。

そんなことを考える時間そのものが、私にとって新しい価値になりました。
  

幻のラトゥール『グラピヨン』|希少性ではなく、物語が生むワインの価値
シャトー・ラトゥールの長い歴史で、1893年と1989年のわずか2度だけ造られたグラピヨン。希少性、歴史、資産価値——同じ一本のワインでも見る視点によって価値は変わります。幻のラトゥールから「なぜ自分はそれを選ぶのか」を考えます。

人生の選択肢を増やすために

お金は大切です。

資産を作ることも大切です。

 

でも、それは通帳の数字を増やすためだけではありません。

 

自分が本当に大切だと思うものを選べるようになるため。

 

「やってみたい。」

そう思った時に、自分の意思で選べるようになるためです。

 

私は、このブログで「人生の選択肢を増やす」という言葉をよく使っています。

 

でも最近、その先にもっと大切なことがあると感じるようになりました。

 

それは、

増えた選択肢の中から、自分の軸で選べるようになること。

 

選択肢が増えるだけでは、人は迷います。

 

でも、自分なりの価値観や哲学が育ってくると、不思議と迷いがなくなり、選ぶことが怖くなくなります。

経験すること。

経験しないこと。


買うこと。

買わないこと。

どちらにも価値があります。

大切なのは、その選択が誰かの価値観ではなく、自分自身の意思から生まれたものだったかどうか。

なのだと思います。

 

高かったことは覚えている。

でも、値段は覚えていない。

価値とは、買った瞬間に決まるものではなく、その後の時間の中で少しずつ育っていくものなのかもしれません。

 

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