幻のラトゥール『グラピヨン』|希少性ではなく、物語が生むワインの価値

ワイン資産

世界最高峰のワインのひとつとして知られる、シャトー・ラトゥール。

ボルドー・メドック格付け第1級に選ばれるその名前は、ワインをあまり知らない人でも、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

 

そんなラトゥールの歴史の中で、わずか2度しか造られていないと言われる特別なワインがあります。

その名前が、

「グラピヨン・ド・シャトー・ラトゥール(Grappillons de Château Latour)」

です。

2度だけ生まれた、もうひとつのラトゥール

グラピヨン・ド・シャトー・ラトゥールは、1893年と1989年の2ヴィンテージのみ造られたとされています。

 

グラピヨンとは、主となる収穫の後に残された小さな房。

こうした房は通常のブドウより成熟が遅れるため、最高級ワインの原料として使われることはありません。

 

しかし、ごく稀に気候条件が重なり、残された小さな房が十分に成熟することがあります。

 

1989年は、まさにそのような特別な年でした。

 

自然がもう一度だけチャンスを与えてくれたようなワイン。

それがグラピヨンの魅力なのかもしれません。

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ラトゥールが守り続けるもの

このワインの存在から感じるのは、ラトゥールというシャトーの哲学です。

ラトゥールほどの名前があれば、多少品質基準を下げても「シャトー・ラトゥール」として販売することはできたかもしれません。

 

しかし、一流ブランドほど名前の重みを理解しています。

 

ブランドとは、単なる有名な名前ではありません。

「この名前なら、この品質である」

という長い年月をかけて築いた信頼です。

 

ラトゥールは、その信頼を守るために厳しい選別を続けています。

 

だからこそ、シャトー・ラトゥールという名前は100年以上経っても世界中の愛好家から求められる存在であり続けているのでしょう。

 

珍しいものには価値があるのか

ここで面白い問いが生まれます。

「珍しいワインほど価値があるのか」

ということです。

 

もちろん、希少性は大きな魅力です。

 

世界にほとんど存在しないものを所有する。

もう二度と造られないものを自分の手元に置く。

 

これはコレクターにとって、とても大きな喜びです。

 

グラピヨン・ド・シャトー・ラトゥールも、その歴史や背景を知れば知るほど、ワイン好きなら一度は飲んでみたい、あるいは、ボトルやラベルだけでもいから一度は見てみたいと思う存在です。

 

しかし、投資という視点では少し違った見方も必要になります。

希少であることと、資産価値が高まり続けることは、必ずしも同じではありません。

 

世界中に欲しい人がいるか。

継続的に取引されているか。

市場で価格が形成されているか。

 

ワインを資産として見る場合には、こうした視点も大切になります。

 

コレクターの目、投資家の目

同じ一本のワインでも、見る人によって価値は変わります。

 

コレクターなら、

「二度しか造られていない歴史的な一本」

という部分に魅力を感じるかもしれません。

 

投資家なら、

「将来も世界中で需要が続く一本なのか」

という部分を見るかもしれません。

 

そして、ワインを楽しむ人なら、

「その物語と一緒に飲みたい」

と思うかもしれません。

 

どれが正しいという話ではなく、

大切なのは、自分が何に価値を感じているのかを知ることだと思います。

 

なぜ自分はそれを選ぶのか

実は私自身も、このグラピヨン・ド・シャトー・ラトゥールを見つけた瞬間、心が動きました。

あるワインショップの案内で届いた一本。

価格は398,000円。

決して気軽に購入できる金額ではありません。

 

それでも、過去に2度しか造られていないラトゥール。

その歴史や物語を知ると、正直なところ一瞬「欲しい」と思いました。

 

しばらく考えた後、もう一度販売ページを開いてみると、表示されていたのは「在庫なし」の文字。

 

その時に感じたのは、不思議なことに残念という気持ちだけではありませんでした。

 

「売れていてよかった」

そんな少し安心するような気持ちもありました。

 

同時に、

この価格でもすぐに誰かの元へ渡っていくことへの驚きもありました。

 

そして、ひとつの疑問が残りました。

 

もし、まだ在庫があったら自分は購入していただろうか。

欲しいと思った理由は何だったのか。

投資家として価値を感じたのか。

それとも、希少なものを所有したいという気持ちだったのか。

 

いろいろな思いが頭の中を巡りました。

 

でも、その時間こそワインの面白さなのかもしれません。

 

数字で表せる価値があります。

市場価格。

評価。

将来性。

 

一方で、数字では測れない価値もあります。

歴史。

物語。

所有する喜び。

 

どちらかだけが正しいわけではありません。

珍しいから選ぶのか。

歴史に惹かれるから選ぶのか。

資産として考えて選ぶのか。

 

同じ一本のワインを前にしても、答えは人によって違います。

 

大切なのは、

「なぜ自分はそれを選んだのか」

その理由を自分自身が理解していることなのだと思います。

 

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自分にとって、本当に価値あるものを選ぶために

ワインも、投資も、人生の選択も。

大切なのは、誰かが価値があると言ったものを選ぶことではなく、

「なぜ自分はそれを選ぶのか」

その理由を自分の中に持つことなのかもしれません。

価格が上がるから。

人気があるから。

みんなが選んでいるから。

それもひとつの判断材料です。

でも、これからの人生で大切にしたいのは、自分自身が納得できる選択を増やしていくこと。

メルマガ『葡萄の館からの手紙』では、ワインやお金、投資を通じて、人生の選択肢を増やすための考え方をお届けしています。

読み続ける中で、今まで気づかなかった選択肢を見つけたり、自分に合った選択を考えるきっかけになれば嬉しいです。

人生を大きく変えるためではなく、これからの時間を、少しずつ自分らしく選んでいくために。

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