※本記事は2026年6月時点で公表されている評論家評価や市場情報をもとに執筆しています。ワインの将来価値や価格上昇を保証するものではありません。プリムールの購入判断はご自身の責任でお願いいたします。
2025年ヴィンテージのボルドープリムールが、いよいよ始まりました。
毎年この時期になると、
「今年の出来はどうだったのか」
「どのシャトーを買うべきなのか」
という話題で盛り上がります。
2025年は、例年以上に特別な空気をまとっています。
現地からの情報や評論家の評価を見ていると、
単なる“当たり年”という表現では収まりきらない何かを感じるのです。
一部では、
「21世紀のニュークラシック」
という言葉まで使われ始めています。
果たして2025年は、本当にそこまで特別なヴィンテージなのでしょうか。
(ニュークラシックという言葉については、こちらの記事 で詳しく解説しています。)
いよいよ2025年プリムール開始
私のもとにも、2025年プリムールの案内が届きました。
今回の目玉のひとつは、やはりラフィット・ロートシルト。
シャトー・ラフィット・ロートシルト2025は、オリジナル木箱入りで1本 9万円台前半。
決して安い金額ではありません。
それでも、この価格を見た瞬間、
「安くはないな」
という気持ちと同時に、
「もしかすると後から見れば安かったと言われる年かもしれない」
という感覚も覚えました。
その理由は、2025年というヴィンテージそのものにあります。
2025年はなぜ特別なのか
極限の暑さだったのにクラシック
近年のボルドーは気候変動の影響を強く受けています。
2022年をはじめ、
2018年、2019年、2020年といった偉大なヴィンテージは、
高いアルコール度数と濃密な果実味を特徴としていました。
もちろん素晴らしいワインなのですが、
一方で、
「昔ながらのクラシックなボルドーらしさが薄れた」
という声もありました。
ところが2025年は違います。
記録的な熱波と干ばつに見舞われながらも、
アルコール度数は13.5〜14%程度に収まり、
鮮やかな酸とフレッシュさを保ったと言われています。
つまり、
暑い年でありながら、
クラシックな骨格を持つワインが生まれたのです。
これは、気候変動時代のボルドーにおいて非常に興味深い出来事だと思います。
1986年と2022年を併せ持つと言われる理由
2025年について語る際、
よく比較対象として挙げられるのが1986年です。
1986年は、
ボルドー史上でも屈指の長期熟成型ヴィンテージとして知られています。
若いうちは硬く閉じていましたが、
数十年の時を経て偉大なワインへと成長しました。
一方で2022年は、
現代ボルドーを代表するヴィンテージです。
凝縮感がありながらも精緻で、
若いうちから魅力を感じやすいスタイルでした。
2025年は、
1986年のような長期熟成能力と、
2022年のような現代的な精密さを併せ持つのではないか。
そんな期待が寄せられています。
もちろん最終的な評価は数十年後に決まります。
しかし少なくとも今、
多くの専門家が「特別な年」と見ていることは間違いなさそうです。
収量半減が意味すること
良いワインは増産できない
ワイン投資という観点で見ると、
私が特に注目しているのは品質だけではありません。
収量です。
2025年は熱波や干ばつの影響により、
生産量が例年の半分程度にまで落ち込んだと言われています。
これは非常に重要なポイントです。
株式であれば増資ができます。
暗号資産も新たな参加者が増えることで流動性が高まります。
でも、ワインは違います。
あとから増産することはできません。
2025年のラフィットは、
世界中で収穫されたその本数しか存在しないのです。
希少性が将来価値を支える
もちろん、
収量が少ないだけで品質が伴わなければ意味がないし、価値が上がるわけではありません。
でも、
・品質が高く
・なおかつ収量が少ない
この条件が重なると、
将来的な希少性は高まります。
過去を振り返ると、
ワイン市場で語り継がれるヴィンテージには、
こうした条件を備えたものが少なくありません。
現時点で、2025年が将来どのような評価を受けるのかは、まだ分かりません。
それでも、
「良いワインが少ない」
という事実は、
市場において重要な意味を持ちます。

私が注目しているのはラフィット2025
今回の案内では、
シャトー・ラフィット・ロートシルト2025がオリジナル木箱入りで9万円台前半、
3本セットのシャトーオリジナル木箱入りで28万円台前半で案内されていました。
海外価格と比較しても、
決して極端に高い価格設定ではないようです。
調べた限り、今回のラフィット2025は英国市場で3本ケース:約 £1,041〜1,047 IB とのこと。「IB」とは In Bond(イン・ボンド/保税状態)の略で、現地の消費税(VAT)や関税、酒税が支払われていない、税金抜きの価格という意味です。1英ポンドが200円だったとして20万円くらいですね。
むしろ、
輸送費や関税、消費税などを考慮すると、
十分に妥当な価格帯に見えます。
かと言って、
けして安い買い物ではありません。
だからこそ、
「偉大なヴィンテージらしいから買う」
ではなく、
「自分はこのワインを何年保有したいのか」
を考える必要があります。
ワイン投資家として考えること
ワイン投資というと、
つい将来の値上がりばかりに目が向きます。
しかし実際には、
ヴィンテージの評価も、
市場の人気も、
将来の価格も、
誰にも分かりません。
だから私は、
ワインを買うときに、
「何倍になるだろう」
よりも、
「10年後、20年後に持っていたいと思えるか」
を考えるようにしています。
2025年は、
暑かったのにクラシック。
凝縮しているのにエレガント。
収量が少ないのに完成度が高い。
そんな、一見矛盾する要素を抱えたヴィンテージです。
そしてもしかすると、
これは気候変動時代のボルドーが辿り着いた、
新しい完成形なのかもしれません。
数十年後、
2025年がどのような評価を受けるのかは、まだ誰にも分かりません。
けれど少なくとも今、
世界中のワイン愛好家と投資家たちが、
少し特別な目でこのヴィンテージを見ていることだけは確かなようです。
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