インデックスを積み立てていれば安心?|金利から考える、これからの投資

投資とお金

「長期・分散・積立が大切」

NISAを始めるとき、こんな説明を聞いた方は多いのではないでしょうか。

S&P500やオルカンを選び、毎月コツコツ積み立てる。口座を開くと、含み益も出ている。

そうなると、「やっぱり、この方法でよかった。これからも続ければ増えるはず」と思いたくなります。

 

ただ、その期待には、どんな根拠があるでしょうか。

今回は、金利と買う価格に目を向けながら、これからの投資を考えてみたいと思います。

これからも、同じように増える?

ご存知のように、積立は買う時期を分ける方法です。

インデックスファンドで多くの企業に分散すれば、一社の業績に頼りすぎることも避けられます。長く投資することで、企業の成長や配当の積み重ねを資産づくりにつなげることも期待できます。

長期・分散・積立にはこうした意味があり、金融庁も、資産形成の基本として紹介しています。

ただ、そこから「これからも、ここ数年と同じように増える」と考えてしまうと、先を行きすぎた期待になってしまうかもしれません。

 

会社が成長しても、株価が上がるとは限らない

株価には、会社の利益だけでなく、その利益に投資家がどれくらいの値段を付けるかも関わります。

簡単な数字で考えてみましょう。


ある会社が、年間に「株1株あたり100円」の利益を出しているとします。その株を、利益の20倍に当たる2,000円で買いました。

その後、利益は120円に増えました。でも、投資家が「利益の15倍くらいの価格で買いたい」と考えるようになったら、どうなるでしょう。

買ったときその後
1株あたりの年間利益100円120円
利益に付ける倍率20倍15倍
株価=利益×倍率2,000円1,800円

会社の利益は20%増えたのに、株価は10%下がりました。

これは仕組みを説明する仮の例です。配当や為替は省いていますし、毎月買う積立全体の損益を表すものでもありません。


それでも、企業が成長すれば自分の資産も同じように増える、とは限らないことが見えてきます。

買う時点ですでに大きな成長が期待されていれば、その期待に応えるだけでは、株価があまり上がらないこともあるのです。

金利が変わると、何が変わる?

では、金利はどこに関わるのでしょうか。


一つは、会社が借りるお金の負担です。

例えば、1,000万円の借入金の金利が年1%から3%になれば、単純計算で年間の利息は10万円から30万円へ増えます。

同じ売上でも、手元に残る利益は減ります。新しい設備を買う計画を、見直すかもしれません。

実際の影響は、借金の多さや返済時期、固定金利かどうかで違います。すべての会社に、同じタイミングで負担が増えるわけではありません。

もう一つは、投資先を比べるときの判断です。

預金や、新しく買う国債などで以前より利息が得られるなら、「値下がりのリスクを取って、この価格で株を買うか」を考え直す人も出てきます。それが、先ほどの「利益に付ける倍率」にも関わります。


ただし、金利だけで株価の方向は決まりません。ほかの条件が同じなら、金利の上昇は株価を押し下げる方向に働きます。

ただ、例えば米国では2023年7月にも利上げが行われましたが、その年のS&P500は、配当再投資を含む米ドル建ての年間リターンで約26%上昇しました。
出典:Vanguard S&P 500 ETF・目論見書(2023年末までの年間リターン)


この例だけから将来を予測することはできませんが、「利上げなら株価は下がる」と単純には言えない例です。

市場の動向は、金利だけでなく企業の利益の見通し、物価の動き、投資家がすでに何を予想しているかも、併せて見る必要があります。

また金利も、中央銀行が決める政策金利と、市場で動く長期金利では役割が違います。

ただし金利は、株式市場だけでなく経済の動き、世の中の動向を考えるための大切な材料の一つであることには違いありません。

期待ほど増えなくても、計画は成り立つ?

ここまで考えると、「積立を続ける」と「これからどれくらい増えると見込むか」は、それぞれ確かめたいことだと分かります。

「思ったほど増えない可能性がある」という話から、すぐに「大きく下がる」「積立が通用しなくなった」と言いたいわけではありません。

積立を続けながら、増え方の期待を見直すこともできます。

また、お金を使う時期や目的によっては、利益の一部を確定し、値動きを抑えた資産へ移す選択もあります。

 

老後のお金、将来の住まい、仕事を少し減らすためのお金。


思い描いた未来が、最近の好調な運用成績を前提にしているなら、一度立ち止まってみてもよさそうです。

期待ほど増えなかった場合にも、自分の計画は成り立つだろうか。


金利動向を含めて経済のことを知る意味は、相場を言い当てることだけにあるのではなく、自分の期待の実現性を確かめることにあると、私は思います。

積立を続けながら、ときどき、そのお金に託している未来にも目を向けてみると良いかもしれませんね。

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