投資の話をしていると、よくこんな話を聞きます。
「あのときAppleの株を買っていれば、今ごろものすごい資産になっていた」
Appleに限らず、Amazonでも、最近だと NVIDIA でもビットコインでも、
「あのとき買っていれば」
という話はいくらでもあります。
確かに、過去の株価を見れば、
「ここで買って、そのまま持っていればよかった」
という場所は簡単に見つけられますよね。
でも、それが簡単に見えるのは、私たちがすでに結果を知っているからです。
そして最近、私はもう一つ大切なことがあると思うようになりました。
たとえ将来値上がりする資産を選べたとしても、その未来まで持っていられるとは限らない。
ということです。
「持っていればよかった」と思うマンション
私にも、「そのまま持っていれば」と思える資産があります。
2000年ごろ、私は京都市内の中古マンションを約680万円で購入しました。
その後、転勤などの事情があって860万円で売却しました。
購入価格より高く売れていますから、当時の私は「失敗した」と思って手放したわけではありません。
その時点では売る必要があり、自分なりに判断して売りました。
ところが最近になって調べてみると、SUUMOに掲載されている現在の参考価格は約2,230万円。
購入した680万円と比べれば、約3.3倍です。
今の価格だけを見れば、
「売らずに持っていればよかった」
と言うことはできます。
でも、そのときの私には、売る理由がありました。
仮に誰かが、
「このマンションは25年後、2,000万円を超えるよ」
と教えてくれていたとしても、そこまで持ち続けられたかどうかは別の話です。
ここから考えると、投資には二つの問題があります。
将来、価値が上がる資産を選べるか。
そして、
その結果が出るまで、保有できる状態にあるか。
この二つは、似ているようで別の問題です。
値上がりする資産も、一直線には上がらない
多くの場合 資産の価格は、
680万円、800万円、1,000万円、1,500万円、2,230万円……
と、階段のようにきれいに上がるとは限りません。
不動産に限らず株でも金(ゴールド)でも
何年も値段が動かないこともあれば、大きく下がることもあります。
でも、後になってチャートを見ると、順調に、きれいに上がっているように見えることがあります。
実際には、その線の上を歩いているときには、次に上へ行くのか、さらに下へ行くのかは分かりません。さらに、生活面でのイベントが起こり、お金が必要になる可能性もあります。
長期投資の難しさは、ここにあります。
今から資産を5倍にしたいなら
今、私なら何を選ぶのか。
現在知っている投資対象の中で、これから資産を5倍にする可能性を考えるなら、私はビットコインをかなり有力な候補だと考えています。
もちろん、未来のことは分かりません。
それでも、供給量に上限があることや、世界中で取引されていること、米国では、一般に「現物ビットコインETF」と呼ばれる現物型ビットコインETP(上場取引型商品)が承認されるなど、以前より投資するための手段も広がってきました。
以前より投資するための手段が広がっていることから、私は長期的な成長余地がある資産だと見ています。
ビットコイン市場そのものが以前と比べてどう変わってきたのかについては、こちらの記事でも考えています。
誰が売っても崩れない市場になりつつあるビットコイン|時間軸を変えると見える景色
ただ、今回考えたいのは、
「だからビットコインを買おう」
という話ではありません。
仮に私の予想が当たったとして、そこまで持っていられるか。
こちらのほうです。
100万円が50万円になったとき
ビットコインは、過去の弱気相場で最高値から75〜84%程度下落して底をつけた時期がありました。
つまり、
「長期では大きく上がる」と考えることと、「途中で半値になる」ことは矛盾しません。
たとえば100万円を投資した資産が、50万円になったとします。
そのとき画面に表示されているのは、
「将来500万円になるかもしれない資産」
ではありません。
今、50万円になっている資産です。
さらに下がって、30万円になるかもしれない。 もしかしたらそれ以上に下がることも… なんて考えたら怖くて持っていられないかもしれませんよね。
でも、下がってもそれ以上に上がったことを知っている私たちは、「そこで売らなければいいんだ」と簡単に言えます。
でも実際にその場にいる人には、そこが底なのか、まだ下がる途中なのかは分かりません。
だから、「5倍になる資産を見つける」だけでは足りないなくて、いかにして持ち続けられるかを考えないといけないのです。
持ち続けるために必要なもの
では、どうすれば長く持っていられるのか。
私は、精神力の問題にはしたくありません。
「暴落しても信じろ」
「握力を鍛えろ」
ではなく、そもそも精神力だけに頼らなくていい状態をつくっておく。
持ち続けるために必要なのは、知識や精神力ではありません。
「握力」よりも「設計」なんですよね。
生活に必要なお金や、数年以内に使う予定のお金とは分けておく。
大きく下がっても暮らしに影響しない金額にする。
そして、上がったときにどうするかも考えておく。
お金をそれぞれの役割に分けて考えることについては、以前こちらの記事にも書きました。
また、値下がりへの備えだけでなく、増えたあとにその利益へどんな役割を持たせるのかも考えておきたいところです。
同じ50%下落でも、
「来月必要なお金が半分になった」
のと、
「しばらく使う予定のないお金が半分になっている」
のとでは、受け止め方はまったく違います。
大切なのは、
下落に耐えられる金額ではなく、下落しても暮らしや判断まで壊れない金額にしておくこと。
そのほうが、長く市場に残りやすくなります。
持ち続けること自体が目的ではない
ただし、何があっても売らないことが正しいわけではありません。
投資した理由が変われば、売ることもあります。
もっと大切なことにお金が必要なら、使うこともあります。
私がマンションを売ったのもそうでした。
今なら2,000万円を超える資産になっています。
それでも、当時売った判断まで間違いだったとは思いません。
持ち続けられる設計とは、
「絶対に売らない仕組み」をつくることではなく、売るときにも自分で選べる状態を残しておくこと。
私は、そう考えています。
5倍になるものを探す前に
これから何が5倍になるのか。
そんなことを考えているときは少しニヤケ顔になっていたりして、楽しいものです。
私自身、ビットコインにはその可能性があると考えています。
でも、5倍になるまで何年かかるのかは分からない。
途中で半値になるかもしれない。
そして、自分の生活もずっと同じではありません。
だから投資では、
「次に上がるものは何か」
と同時に、
「私は、その結果が出るまで持っていられるだろうか」
と考えてみる必要があるのだと思います。
「あのときAppleを買っていれば」
「マンションを売らずに持っていれば」
後からなら、いくらでも言えます。
でも、今の私たちに見えているのは、まだ途中の景色だけです。
だからこそ、
未来を当てることより、その未来まで残れる設計をつくること。
「何を買うか」と同じくらい、
「持ち続けられる状態をどうつくるか」も、
投資判断の一部として、非常に重要な要素なのだと思います。
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