ワインを「美味しくない」と思う理由

ワインのある暮らし

 
「ワインって美味しくない」

「ワインって、なんだか苦手なんですよね」

 
こういう話を聞くことは少なくありません。

渋い
酸っぱい
よくわからない
値段のわりに感動がない


もちろん、好みの問題もあります。

でも私は、酒類卸売の物流現場で働いていた経験から、別の可能性もあるのではないかと思っています。

もしかすると、その人が飲んだワインは、“本来の状態”ではなかったのかもしれない、と。

 

ワインは、少し特殊なお酒です。

ビールや缶チューハイのように、「工場で完成されたもの」というよりも、瓶詰めされた後もゆっくり変化を続けていく、ある意味“生き物”のような存在です。

 

だからこそ、

・どんな環境で保管されていたか
・どんな温度変化を受けたか
・どんな輸送を経てきたか

によって、

味わいの印象が変わることがあります。

 

もちろん、日本の物流そのものが悪いと言いたいわけではありません。

 

むしろ、日本の物流は本当に素晴らしいです。

時間通りに届く
破損も少ない
多くの商品が、正確に、効率よく運ばれている

 

これは世界的に見ても、かなり高いレベルだと思います。

 

ただ、その中でワインという商品に関しては、少し特殊なんですよね。

 

たとえば、普段飲みのワイン。

 

物流倉庫では、段ボールに入った状態で棚に積まれています。

夏場になると、倉庫内が30度を超えることもあります。

 

出荷前には、棚からピックアップされた商品がトラックの積み込み前エリアに並べられ、時間帯によっては日差しが当たることもある。

 

もちろん、これは誰かが雑に扱っているわけではありません。

 

限られた時間の中で、膨大な商品を正確に動かすための、現実的なオペレーションです。

 

そして実際、多くのお酒やその他の品物も、それで問題ありません。

 

でも、ワインは少しだけ繊細です。

特に高温状態は、ワインに少しずつ影響を与えます。

 

完全にダメになるわけではありません。

 

だからこそ厄介で、

飲めないことはないけれど、

「なんだか香りが弱い」
「アルコール感だけが浮く」
「重たい」
「余韻が短い」

そんな状態になることがあります。

 

すると飲み手は、

「ワインってこんなものか」
「よくわからない」
「別に美味しくない」

と思ってしまう。

 

ワインって、スーパーや飲食店でも、

少しおしゃれに、「特別なお酒」をイメージさせる紹介や陳列がされていることが多いので、なおさらです。

 

でも逆に、

きちんと温度管理された状態で届いたワインを飲むと、驚くことがあります。

香りが立ち上がる
飲み込んだ後も余韻が続く
空気とともに表情が変わる

「あれ!? ワインってこんなに美味しかったんだ」

そんな体験につながることがあるんです。

 

だから私は最近、

ワインの価値って、中身だけではないのだと思うようになりました。

 

誰が造ったか。
どの年のものか。

もちろんそれも大切です。

 

でもそれと同じくらい、

「どう運ばれ、どう保管されてきたか」

という、

“見えない時間”にも価値が宿っている。

 

これは、投資や人生にも少し似ている気がします。

数字だけでは見えないもの
表面だけではわからないもの

 

丁寧に調えられた環境の中でこそ、本来の価値が育っていく。

 

“どんな環境で、どんな時間を過ごしてきたかで、本来の魅力が変わる。”

そんなことは、人も、お酒も、少し似ている気がしています。

 

美味しいワインを飲みたいと思う方へ

美味しいワインを飲みたい。

そう思うなら、値段やラベルだけではなく、
今、手に取ろうとしているそのワインが、
どんな時間を過ごし、どんな運ばれ方をして、ここにあるのか。
 

そんな背景にも、少しだけ想像を巡らせてみてください。

  

ワインも、人も。

どんな環境で、どんな時間を過ごしてきたかで、
本来の魅力は変わっていく。

そんなことを、
この頃よく考えています。

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ワインと時間、資産と人生について、
静かに綴っています。

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